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末次寛武 編 元志学ゼミ講師

僕らもみんな出来なかった

第4回 末次 寛武 編

「志学ニュース」2004年8月号より

私は社会が苦手だ。社会に限らず、覚えなければならない科目は全部好きじゃなかった。英語や化学にしても、単語とか化学式が無意味な記号の羅列に見えてまったく覚えられず、ずいぶん苦労した。

中学のころ、ひどい点数ばかりで、自分は特別記憶力が悪い人間でどれだけ努力してもしょうがないんじゃないかと思ったことさえあった。
高校に入って、このままじゃ駄目だ、社会や化学はともかく英語だけでも何とかしようと、担当の先生の薦めた方法で勉強することにした。その方法というのは単語だけを覚えるのではなくて、ひとつの短い文章を口で唱えながら覚えるというものだった。単語じゃなく文章になるのだから、それだけ量が増えて効率か悪くなる気もしたが、実際にやってみると文法も一緒に覚えることができるし、なにより後々まで残っていた。この方法を続けることで英語の成績はなんとか持ち直し、英語を勉強することが楽しくなった。

もちろん成績があがったからといって記憶力がよくなったわけではない。能力が上がったんじゃなくて、方法が良くなったからそれなりの結果が出たのだ。その証拠に社会はさっぱりあがらなかった。威張れることじゃないが、今でも社会科目は苦手だ。やはり方法に問題があるのだと思う。

生徒のみんなの中にも覚えるのが苦手な人はいるだろう。できないできないといってやらなければ、そりゃぁできないままだ(私にとって社会がそうですな)。それでも適切な方法で繰り返し続けていくと覚えることができる。みんなそうだと思う。記憶力のいい人というのは確かにいるけど、記憶力の悪い人っていうのはいない。私はそう信じるし、みんなもそう信じてがんばって欲しい。

勉強なんて嫌いだと思っている人、なにも最初から全部頑張れとは言わない。何かひとつでもいい、自分の好きな科目をつくろう。私は英語は一生懸命やったが社会はたいしてやってこなかった。本当のところ社会は赤点だらけで先生に叱られもしたが、学校が嫌になることもテストが怖いと思うこともなかった。社会は駄目でも、自分にはこれがあるというものを持っていたからだ。

完全な人間なんていない、不完全だからこそ個性があり、努力のしがいがあるんだ

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