【登場人物】
山本先生(52歳 仮名):札幌市内の急性期病院勤務の内科医。ワークライフバランスを見直したくて転職を検討中。
長田(ながた):北海道専門の医師転職エージェント。
1. 札幌市の転職市場、どうなっている?
山本先生:
長田さん、こんにちは。転職の相談でご連絡しました。札幌市内での転職って、今どんな感じなんでしょうか?希望する求人ってありますかね?
長田:
こんにちは、山本先生。札幌市の医師転職市場は、道内でも特に動きが活発な地域の一つです。ただし、エリアや診療科目によって求人状況が大きく異なります。今、内科系のご相談が多いですが、希望条件によっては競争が激しくなってきていますね。
山本先生:
そうなんですね…。以前よりも転職しづらくなっているんですか?
長田:
一概には言えませんが、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査(令和2年)」によると、札幌市は医師数そのものは充足傾向にあります。道内で医師の約30%が札幌に集中していますから、都市部では求人の質が問われるようになっています。
2. 医師過剰?それとも偏在?
山本先生:
でも、患者数も多いですよね?それでも医師が余っているってことなんですか?
長田:
いえ、「余っている」とまでは言いませんが、「札幌市中心部に偏っている」というのが正しいですね。厚労省の「医師偏在指標(2020年)」では、札幌市の医師偏在指標は全国平均(1.00)をやや上回る1.10程度で、やや医師が多い地域とされています。
山本先生:
なるほど…。都市部に集中してるという話はよく聞きますが、実感としても確かにそうです。隣町の病院は医師不足なのに、札幌市内の病院は医局人事が強くて動きづらい。
長田:
まさにその通りです。札幌では医局出身の先生が多く、医局外で転職したいという先生が増えています。その分、「医局に縛られない転職」を希望する層の流動が生まれてきているんです。
3. 科目別の転職事情
山本先生:
ちなみに、診療科別ではどこが今、求人が多いんでしょうか?
長田:
札幌市内では以下の傾向があります:
▷ 求人数が多い診療科(2024年現在)
在宅医療・訪問診療:コロナ後の需要増と医療計画の影響
精神科:病棟運営のための常勤医確保が急務
健診・予防医療:健診センターや企業産業医需要の増加
整形外科・リハビリ:高齢化により慢性的に不足
▷ 求人が少なめ or 競争が激しい科目
一般内科(特に総合病院)
循環器内科(都市部)
皮膚科・眼科(人気科目)
山本先生:
やっぱり内科は倍率が高いんですね…。勤務負担を減らしたいから慢性期や訪問診療も視野に入れていますが、未経験だと難しいでしょうか?
長田:
未経験でも歓迎している施設は多いですよ。特に訪問診療クリニックでは「患者との会話ができる医師」や「チームで動ける柔軟性」が重視されますので、急性期の経験は大いに生かせます。
4. 勤務条件と働き方の多様化
山本先生:
今は週5日で当直もありでヘトヘトなんです。転職するなら「週4日以内・当直なし」が希望なんですが、札幌でもそういう求人ってありますか?
長田:
増えてきています。特に在宅医療・クリニック・健診センターなどでは「週3〜4日勤務・当直なし」の常勤求人も普通にありますよ。
▷ 札幌市内の医師求人例(令和6年・弊社実績)
勤務形態 内容 年収目安 備考
週4日常勤 在宅クリニック 1,200〜1,400万円 夜間オンコールあり・手当別途
週3日常勤 健診センター 800〜1,000万円 当直なし・年休120日以上
週2日非常勤 精神科外来 日給9〜11万円 経験不問、医師2名体制
山本先生:
札幌って都市部だから働き方が限られている印象があったけど、意外と柔軟に選べるんですね。
長田:
そうなんです。特に40代以降の先生は、「今後のライフスタイルをどうしたいか」を軸に転職を考える方が増えています。
5. 札幌でキャリアを続けるという選択肢
山本先生:
正直、道外も考えたことがあるんですが、家族もいますし、できれば札幌でキャリアを継続したいんですよね。
長田:
そのお気持ち、よくわかります。札幌は医療機関数・患者数・インフラすべてが揃っている都市です。転職先の選択肢は多いですし、今後は**「地域医療・連携医療」に長けた医師**が重宝されていく流れです。
山本先生:
少しイメージが変わりました。条件にこだわらなければ、いい転職ができそうですね。
長田:
はい。先生のような急性期経験を持つ医師は、札幌でもまだまだ求められています。無理なく続けられる環境をご提案させていただきます。
6. まとめ
札幌市の医師転職は「過剰と不足」が同時に存在する市場
札幌市内では医師数は多いが、診療科やエリアによる偏在が課題
内科系は競争が激しい一方、在宅医療・精神科・健診は求人多数
週3〜4日勤務・当直なしといった働き方も可能
キャリアの方向性とライフスタイルを見つめ直す絶好のタイミング
📚 引用元・参考文献
厚生労働省「令和2年 医師・歯科医師・薬剤師統計」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/20/
厚生労働省「医師偏在指標」(令和2年分・医政局)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html